ようやく続き
2010年 03月 09日
少なくとも二人の方をお待たせしてしまっていたことがわかりました。
今日はもうくたびれきったので、仕事は放棄して、豚殺しのレポート作成に取り掛かります。
はい、そういうわけで、次の日の未明。
豚はそのお宅で数匹飼われているのですが
今回犠牲になるのは、この子。
「なんでオレだよ、かんべんしてくれよ。」
豚殺しに使用される七つ道具。
中でも重要なのは透明の小さなグラスに入って並んでいる、そう、パーリンカです。
くっと一口で飲み干すと喉がカーッと焼け付く、ハンガリーの蒸留酒。
冬の夜明け前に行われる豚殺しの時には欠かせません。
(テンションをあげて罪悪感を和らげる効果もあるのかも。)
昔は喉元にナイフを突き立てたそうで、
その噴き出す血にはとても目を向けられず、
豚の断末魔の叫びはとても聞いていられないという話を
何度か耳にしていたのですが…
EU加盟後はSokkolóと呼ばれるものが使われています。
電気ショックで一発でしとめるのです。
なので、私もさすがにその瞬間は写真を撮る気にはなれなかったのですが、
それでもしっかり自分の目では見ることができました。
恐れていたほどのことはまったくありませんでした。
柵の中をぐるぐる走り回る豚の首に、おじちゃんがぷすっと道具を突き立てて、おしまい。
しとめた後、首を切ります。
血も食べるので、急いでバケツにとります。
手前に見えるのがその凶器です。
手前のはしごのようなものに載せます。
何のためかというと、重さを量るためです。
(何キロって言っていたか忘れちゃった…)
その後、バーナーで毛を焼きます。
だいぶ落ちてきたところ。結構時間がかかります。
これ、何かわかりますか?
豚のつめです。
昔は豚殺しのときはこれに上述のパーリンカを入れて飲んだのだそうです。
すっかり黒焦げになったところで、
ミカン袋のような網状のもので、お湯をつけながら表面をこすり落とします。
手伝わせてもらいました^^
(普通「やりたい」という女の人はいないそうで、笑われましたが…)
すっかり毛が落ちて黄金色になった豚さん。
ますますグロくなって行きますが、お付き合いくださいね。
おなかに少し穴を開けて
尿道を引っこ抜きます。
それは猫が食べる。
まずは前足を切ります。
全部の足が切られたところです。
頭も切ります。
断面図。
バケツに入れられます。(ホラー映画のようですが、まったく何気ない現実です。)
横からの図。
縦に切っていきます。
二つにぱかっと。
腸が見えます。
内臓は取り出されます。
おけからはみ出しているのがおしりの穴です。
この腸の中身を洗い出すのは女の人の仕事です。もちろん臭いです。
ソーセージといえば私達はこうして腸にお肉をつめたものを食べているわけです。
こんな風に切り開かれます。
顔もさらに分解されます。
も、ほんと、ごめんなさい、でも、こんなふうになります。
私は血は本当に苦手で、そのせいで映画もほとんど見ないくらいなのですが、
でもこの血に対しては当然ですが別の心構えがあり、
「怖い」とかそういうものではありませんでした。
でもそれはその場にいたからこそ思えたことかもしれませんので、
このページを見て気分が悪くなった方がいらしたら、ごめんなさい。
ちょっと休憩。
そのお宅にはスモーク・ソーセージやスモーク・ハムを作るところもありました。
葡萄やソーセージを干しているところ。
葡萄は貴腐ワインに使うという話だったと思います。
さて、集めた血はたまねぎと一緒に火にかけてすぐ食べます。
sült vérと呼ばれる、豚殺しのときにしか食べられないご馳走です。
レバー炒めのような味でおいしかったです。
その間にもすぐにお肉の処理が始まっています。
適当な大きさに解体されたお肉は電動のシンプルな肉挽き機(?)にかけられ、
その日のうちに挽き肉になります。
(二日に分けてやるお宅も多いのだそうです)
動物愛護団体から苦情が来そうな記事ですが、
その最期を見ようと見まいと
私達が口にするお肉たちは生きている動物たちがこうして殺された結果なのであって、
こんな風に大勢の人たちに看取られながら
まったくどの部位も無駄にされることなく一生を終える豚さんは
スーパーでパックに入れられて並んでいる豚さんよりも
いくらかはいいのではないか、と思ってしまいます。
勝手なこじつけ、自分への言い訳だとは、思いますけど。
フノルさんと村の皆様には貴重な経験をさせていただいて大感謝です。
誘ってくださったG先生にも大感謝です。
前述の本ではイラストで解説されていたので、写真の臨場感に見入ってしまいました。温度や匂いもしてきそう。
猫が食べているところなんて最高ですね。
そんなシーンを描いているチェコの絵本もありました。
それが昔から生活の中で続けられてきた風景なんですもんね。
いろんな考え方の方がいると思うけれど、少なくとも肉を食べる人ならば知っていた方がいいと私も思います。
本を読んだ後、スーパーできれいにパックされた薄切り肉をしみじみ眺めてしまいましたもの。
お忙しいところ掲載ありがとうございました!
私のブログでも紹介させていただこうかな。
カマタ
あまりのグロさに最後まで見てられませんでした・・・
私も写真を掲載して改めて
「これ、載せていいのか?」とちょっと思いました。
「家畜に名前をつけてはいけない」と聞いたことがありますが
わかる気がします。
最初から「お肉としての動物」と思っていなかったら
こんなことはとてもできないですよね。
猫たちもたぶん豚とは友だちではなく、生きているときからずっと
「尿道・・・(舌なめずり)」と思っていたと思います。
変なもの見せてごめんなさい(>_<)
たぶん私も、もし人のブログだったら途中で読むのやめてます。
よくわかります。
実際の現場で生で見るより、なにか家で画像を追うほうが
内臓に衝撃が走るのかもしれない。。。
その場にいたからこそ、怖い感情が生まれなかったというのは
想像上にも私も感じたよ。覚悟って、そういう状況でできるもんなのかねえ・・・。
舌なめずりについては、司の得意技なので・・・。
かっつとダダという、私たち二人の間でしか使用されていなかったニックネームがここでとうとう全国公開されてしまったね。(見ている人が何人いるかということはおいといて)
司も「尿道・・・」と思いながら舌なめずりしていたのかなぁ。それこそ内蔵に衝撃が走るよね。過去のこととは言え。
全然関係ないけど、とうとう13年来ぐらいの友人になってしまったよね、わたしたち(+司)。今年は会えると思うのでよろしく~!!
ハンガリーでこんな貴重な体験をされたなんてうらやましい。ぜひ機会があったらこどもたちと一緒に、と思いますが彼女たちはたぶん嫌がるだろうな。
私自身は数年前からほとんど肉を食べない生活をしているのですが、こうして生き物をいただいているのだ、という事実に目をそらして生きていくことはできないですよね。いつか見てみたいとずっと思っていました。
それにしてもこの写真をアップする心意気に感動です。すばらしい。友達にもこのブログを紹介しときます。
そうですね、おじょうさんたちにはきっとキツイですよね。私もあれくらいの年頃だったらもっと怖がっていたと思います。(今は十分に歳も取り、心臓は毛がぼうぼうですから)
ご紹介くださるとのことありがとうございます。ご友人が気持ち悪くならないといいのですが・・・!
すごい体験をしたんだね。
救急24時みたいなTV番組も無理な俺にはちょっと過酷だった。
でも、2回3回と見直すと、これが動物が動物を食するときの当然の儀式・・・、いや、そんな大げさなものじゃなく、普通に行われることなんだなって理解できたよ。
あまりに非現実的でこの世のものとは思えないような光景だけど、実は日常的で当たり前、なくてはならない光景なんだよね。
これを知れば、命の大切さや日常に溢れる当たり前なもののありがたみを痛いほど感じられると思う。
写真より、その場で見てみたいね。
とにかく、この記事のパワーに圧倒されて、何か書かずにはいられませんでした。(笑)
ぱへが書き込みをしてくれること自体すごい体験だよ(笑)。元気??前から見られていた、というか見てもらっていたとは・・・!やや気恥ずかしくなってちょっと昔のものとか読み直してしまいました。
市高の人たちみんな、元気なのかな。クラス会とかやってる?
ハンガリーに遊びに来てー!!