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ハンガリーてくてく日誌2

ブダペストの大学で日本語を教えたり、ハンガリーの絵本を翻訳したりしています。指の間からどんどんこぼれ落ちていってしまうような毎日を、少しでも書き留められたらいいなぁ。


by pitypang2

翻訳の授業にて

前に『心をつなぐニュース』の翻訳をしていますって書いたのですが、
その授業がここ最近、おもしろいです。
教師(私)そっちのけで盛り上がっちゃって、なかなか口を挟む隙もありません(笑)。
今やっているのは、校正の段階。
前年度の学生が翻訳してくれたものを直しています。

今日は「津波に強い街」っていう言葉に対するハンガリー語訳を探したのですが
あーでもない、こーでもない、そもそも津波に強い街ってどういうこと?と
7人の学生が非常に熱くなって5分ぐらい?討議して、
結局、気づけば最終的にたどり着いたのは、最初に担当の学生が訳した言葉でした。
それに気づいたときはみんな、真っ赤になって大笑い。

翻訳ってそんなもんだ。
あーでもない、こーでもない、と考えて考えて、
結局一巡して最初の訳にたどり着いたりする。
でも、その一巡はたぶん結構大事なことで、
一周回ってやってきたところは、同じに見えても同じじゃないんだよ。

「日本語を教える」ということに携わっていますが、
それが単に表現や文法を教え間違いを正すことではなく、
何かに対する姿勢や生き方の一例を考えさせるものになったら
望外の幸せだと、最近エラそうなことを思います。
自分の意見が言え、相手の意見が認められ、
些細な言葉にもこだわり通すみんなはすごい。
授業時間は限られているけど、邪魔したくないと思ってしまうし、
エラそうなことを言った直後だけど、本当に私のほうが学ばされる。

それにしても、私にとっては、
ハンガリー語という山の高さを思い知らされる授業でもあります。
自分では、ある程度どんなテーマでも
そんなに不自由なくハンガリー語で話せるようになったと思うけど、
二つの表現を比べてどちらがいいか、なんていう討論にはなかなか加われません。
っていうか、こんなに加われないと思ってなかった!う~む。
一応、日本語で状況を説明したり、同じ表現でほかの例文を挙げたりするんだけど、
それがまた起爆剤になって討論が終わらなかったりして、本当に面白い。

こういう学生たちに会えて、幸せです。
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by pitypang2 | 2013-05-02 23:41 | 日本語教師のこと | Comments(0)