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ハンガリーてくてく日誌2

ブダペストの大学で日本語を教えたり、ハンガリーの絵本を翻訳したりしています。指の間からどんどんこぼれ落ちていってしまうような毎日を、少しでも書き留められたらいいなぁ。


by pitypang2
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RPGを通して、現在の若者を考える(エラそうなタイトルだな)

↓ 内容とは関係ないけど、写真をつけたほうがいいのでつけました。
天窓の上でくつろぐまーちゃんです。
猫を裏から(?)見る機会ってあまりありませんね。
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先日、学生たちと遅くまで飲む機会があって(うちの旦那は心が広い泣)
翌日は二日酔い気味でお勉強ができなかったので
ついに禁断のRPGに手をつけてしまいました。
今回はファイナルファンタジーブレイブエクスヴィアス。
1年生のカタカナの練習によさそうなタイトルです。

ゲーム自体は、私は実はそんなに楽しめませんでした。
(そもそもやらなきゃいけないことがあるので
ハマってしまったら大変です^^;)

でも、最近のRPGについて、そして今の若者について、
いろいろ考えさせられ、勉強になりました。
これだけを見てすべての「最近のRPG」そして「今の若者」を
語るわけにもいかないと思うのですが、
気づいたことを備忘録として書いておこうと思います。

【気づいたこと①】
情報量が膨大で、とても覚えきれない。
でも、コンピューターがその時々に必要なものを
勝手に見つけてくれるので、
覚えなくてもいいことになっている。

ちょっとダンジョンを歩いたり敵を倒したりするだけで
「なんちゃらの石」やら「ほにゃららの骨」やら
結構な種類のアイテムが手に入ります。
覚えきれないどころか、全然読みきれません。ほんとに。
でも、必要な時に必要なものがピックアップされるようになっているので、
覚える必要も読む必要もなし。

やらなきゃいけない課題も、一度にたくさん出てきます。
「あれを見つけてこい」「あそこの人と話してほしい」などなど。
その課題も画面の一部に出てくるので、覚える必要なし。
一つひとつこなしていった昔のRPGとは違う感じがします。

【気づいたこと②】
ストーリーがあまりない。

私は昔、本を読む感覚でRPGを楽しんでいたので、
ストーリーが一番大事でした。
だから、今回やってみたゲームが
ほぼ完全に展開が見える感じだったのは残念でした。
(私が成長したのか??)

【気づいたこと③】
セリフが陳腐で表面的。

初期のドラクエやFFでは、主人公=自分で、
そのセリフがもともと決まってしまっているということは
あまりなかったように思います。
王様「ふむふむ、そうか、そんなことがあったのか」みたいに
主人公=自分が話したと仮定された後で
他の登場人物が返事をするような形になっていました。
だからこそ、それなりに機微のある物語として
楽しめたような気がします。
今回やっているゲームでは、主人公が勝手に話してしまうので、
想像力の入る余地がありません。

【気づいたこと④】
戦いが速すぎる。

これは特に「オート」モードにした場合の話なのですが、
「ばばばばばっ」と全員が何かの攻撃をして
1,2秒で戦闘が終わってしまいます。
何が起こったのか、ほとんど見えません。
「オート」モードにしなくても、
キャラクターたちが一度に攻撃するとダメージが高まるというシステムになっていて、
とにかく速く攻撃することが推奨されています。
昔のRPGでは、戦いのとき、
一人ひとり、どのキャラクターに何をしてもらうかを私が決め、
一人ひとりが何をして何ポイントのダメージを与えたのかが文章で現れて、
一匹ずつ敵を倒していきました。

【気づいたこと⑤】
戦闘に加わる人が多いんだけど、
実際にセリフがあったりするのはほんの一部。

例えば、このゲームでは私は最終的に5人のチームで戦っていました。
でも、セリフがあって互いに話をするのは、最初に出てきた2人だけです。
あとは自由に召喚されて出てくる謎のメンバーたちで、
その人たちは最初に出てきた2人と話をする様子はなく、
時として何かつぶやくだけです。

これ(↓)とおんなじだ!と思ってしまいました。
今(といってももう10年以上前か)の
大学生について書かれています。

「同じクラスを受けていても学生間にほとんど会話がない。
親しい友人同士が一緒に受けている場合は、その間だけで会話が盛り上がる。
筆記具やプリントを忘れても隣りの学生に借りることができず、
授業にほとんど参加せずにその時間をやり過ごす。
(中略)
ほんの一握りの親しい人間とはノリのいい会話をするが、
それ以外の、特にクラスメイトのような「半知り」状態の人に対して、
コミュニケーションが苦手なのである。」
(三宅和子(2006)「「ことばの教育」は何をめざすのか」
『アカデミック・ジャパニーズの挑戦』pp.189-204)


【気づいたこと⑥】
全然知らない現実の人と
つながれる(んだけど、実際にはつながってない)。

上記の5人のメンバーのほかに、
どういうシステムなのかよくわからないけれども
このゲームをやっている知らない現実の人のキャラクターに
仲間に入ってもらうことができます。
実際にその人とコミュニケーションをとるわけではなく、
ただ入ってもらって、戦ってもらって、そして去っていきます。
誰かとつながったような、つながっていないような。

【気づいたこと⑦】
リスクが少ない。

ほぼ自由に仲間を加えることができ、
ほぼ自由にレベルをマックスまで上げることができます(!??)。
また、武器が200ギルぐらい、アイテムが100ギルぐらいとかの中で
最初にちょっとしたことをするだけで
50000ギルもらえます。
お金が使いきれません。
「うわー、武器が高い、たくさん戦って稼がなきゃ」という楽しみ方は、
きっともう古いんですね。

このアプリは無料だけど、ゲーム内課金制度になっていて
必要なものがあれば現実の自分のお金で購入できます。
「こんなにゲームのお金(ギル)がたくさんあるのに、
自分のお金まで出したい人がいるのかな?」って素人目には思うけど、
実はやっぱり人間というのは
ゲームをするからにはリスクを負って、
それを克服して何かを手に入れることに喜びを見出す生き物らしく、
おそらくそれでこそ、
ゲームのお金はいくらでも手に入るようになっているのだろう、
ゲームのお金だけでそのリスクが楽しめるなら
誰も現実のお金は使わないのだろう、というのが
私と夫の勝手な見解です。
おもしろいものですね。

【気づいたこと⑧】
タスク制(?)になっている。

洞窟や森などに入る前に
4つぐらい課題がでます。
「全滅せずにクリアする
火の魔法を使ってクリアする
最後のボスを仲間に入れる
アイテムを使わずにクリアする」
みたいな感じです。
それらが達成できると、一つひとつに対しご褒美がもらえます。

これはいわゆる外国語教育における
Can doリスト…?
と、思うと、「何かができる→OK」に着目した外国語教育は
単に現実と結びついたプラクティカルな教育をしようとしただけではなく、
今の若者の性質をよく知った上で、そのようにしたのかも、と思えてきました。
今の若い人たちは
「これができるようになればいいんだよ」→できた→ご褒美
という流れが我々の世代以上に好きなのかも知れません。
もちろん私たちの時にもあったけど
(RPGなら、洞窟で宝物を手に入れるとか)、
もっとわかりやすい、明文化されたものがほしいのかも。


まとめると、

・情報が膨大(でも覚える必要はない)
・深いストーリーはいらない
・深いセリフや、言葉のないところにおける想像もいらない
・展開が速い
・「半知り」の人とは、場は共有するけどコミュニケーションはとらない
・ネット上で全然知らない人とつながる(でも素性は知らない)
・リスクが少ない
・何かのタスクを事前に提示されてクリアしていくのが好き

という感じが見えてきました。
といっても、どれもたぶんよく言われていることなので、
単に私がゲームを通して体感したと言った方が合っていますね。
ハンガリーの若者でも、思い当たるふしもあるし、
日本の方がそういう傾向が強そうな気もするし。
普段若者と接している人間として、
今後参考になりそうな気もするし、ならない気もするし。
たかがゲーム、されどゲーム。
おもしろかったです。
(でも、暇じゃないので、もうやらないぞー!)



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by pitypang2 | 2017-08-14 19:27 | ひとりごと | Comments(0)