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ハンガリーてくてく日誌2

ブダペストの大学で日本語を教えたり、ハンガリーの絵本を翻訳したりしています。指の間からどんどんこぼれ落ちていってしまうような毎日を、少しでも書き留められたらいいなぁ。


by pitypang2

東北3日目

が、なかなか書けないまま日が過ぎてしまいました。
あの時、同時進行で書けたらよかったのですが書けず
(やっぱりスマートフォンとかiPadとかの新境地に足を踏み出すべきか・・・)
日本での残りの日々はまさに怒涛のスケジュール、
ハンガリーに来たら来たで日々思うことがあり・・・
まるで後回しにしたかのようで胸が痛みますが、
今さらながら今日は書かせていただこうと思います。

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仮設住宅が集合しているところのすぐ近くに小さな野外喫茶店があり、
飲み物が無料で飲めるようになっています。知人が連れて行ってくれました。
義援金を使って地元の人たちが自分たちでやっているコミュニティ・スペース
(だと理解しましたが、誤解があったらすみません)。
被災していない私たちはお金を払おうとしたのですが、受け取ってもらえませんでした。

私たちは、手前の白い服を来た女性の隣にある白木のテーブルを囲んで座り、
その女性に声をかけて、お話を聞きました。
仮設住宅は快適ですよ、と落ち着いた声でおっしゃり、
当時の九州の大雨による被害を心配していらっしゃいました。

写真の奥では、左側に小学生の男の子達が集まり、ジュースを飲みながら
ポケモンか遊戯王か(古い?もう違う?)何かの話で盛り上がっていて、
右側ではおばあちゃんたちが大勢集まって、静かにおしゃべりしていました。
喫茶店の横にたくさん、横並びにおばあちゃん達の手押し車が並んでいて、
そのかわいかったこと・・・!

それぞれみんな、家をなくし、大事な人をなくし、
どう見ても東北の冬を越すには寒そうな仮設住宅に暮らし。
毎日なんとなく集まっては、お茶を飲み、ジュースを飲み、
笑ったりしゃべったり。

高台にある喫茶店なのですが、帰りに私たちがその下の道を車で通るとき、
白い服の女性が立って、私たちに向かって
ずっと大きく手を振ってくれているのが見えました。
ほんの少しおしゃべりしただけなのに。
その人の静かなお茶の時間を邪魔してしまったのに。
励ます言葉も見つからず、無力な自分が悔しかったのに。
それを見たときが東北で一番涙が出たときだったように思います。
人ってなんて強くて優しいんだろう。


それから陸前高田の一本松のところへ。
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それを見ながら話していたら、突然背後から
おじいさんに話しかけられました。

おじいさんは、津波を経験していないガイドが
あることないこと想像でしゃべってしまうのに我慢できず、
最近はそのあたりに人がいたら
自分から声をかけて説明するようにしているのだそうです。
聞き取れるようになるのにちょっと時間がかかってしまうくらいの東北弁で
何度か「冗談はヨスコさん!」と挟みながらいろいろ説明してくれました。
津波の来る様子、波の引いていく様子。
一本松の保存工事費用1億5千万円に地元の人たちは不安がっているという話。
おじいさんは、大地震の後、
犬をつれて避難所に行ったのですが、
「犬はだめだ」と言われて、犬と一緒に別の場所へ避難。
犬を断ったその避難所は、流されて全滅してしまったのだそうです。
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社交ダンスが趣味だというハイカラなおじいちゃん。
お帽子もすてきでした。

車で移動。
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4階まで波が来たことがわかります。

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こんな大きな船が打ち上げられていました。
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よく見ると車が下敷きになっています。

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気仙沼の復興商店街。お寿司がおいしかった!

道中、大方片づけられてただ荒廃しているような風景を見て
写真もずいぶん撮ったのですが、
そのあたりはたぶん、ハンガリー在住の私よりも
日本の方のほうがテレビや新聞を見てご存知だろうと思います。

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こちらこそどうもありがとう、と言いたい。
(決して、決して、「どういたしまして」ではない。)
この日は、東北の人たちのあたたかさ、楽しさ、強さが
本当に心にしみました。
「元気をもらった」なんてあまりにありきたりな言葉ですが、
ボランティアに行った側が感謝の気持ちでいっぱいでした。

仙台まで車で送ってもらい、そこからは私とくんくんは新幹線で静岡へ。
七夕祭りが近づいていました。
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東京で某鉄道会社の人が2人ほどいじわるで、
乗り換えの新幹線を遅らせなければならなくなりがっかり。
東北の人々に感慨を受けた直後で、
つい全然意味のない比較をしてしまいました・・・ 
人は人、自分は自分。目指すものは明確。
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by pitypang2 | 2012-09-30 06:24 | 日本のこと | Comments(0)